日本とトルコ 100年の歩み

日本・トルコ外交関係樹立100周年

個人会員 青木雄一 氏

個人会員 青木雄一 氏

トルコ共和国大統領府投資局(Türkiye Cumhuriyeti Cumhurbaşkanlığı Yatırım Ofisi)は2018年の新たな大統領制移行に伴い設立されましたが、その前身は2006年12月に設置されたトルコ共和国首相府投資促進庁(T.C.Başbakanlık Yatırım Destek ve Tanıtım Ajansı)に遡ります。トルコが経済成長を目指す中で、外国からの投資を積極的に誘致し、産業構造の高度化、高付加価値経済を実現するため、設立以降数多くの海外企業のトルコ進出をサポートしてきました。実は、日本からトルコへの直接事業投資が初めて行われたのは1927年、大谷光瑞によるアンカラの農園Ankara Sanayi-i ZiraiyeLimited Şirketiであり、アタテュルクの創設したトルコ復員軍人農場を支援するための事業でした。さらに1929年にはブルサで日土織物会社(Bursa Türk-Japon İpek Dokuma Fabrikası)をトルコ人事業家メフメト・メムドゥフ・ギョクチェン(Mehmet Memduh Gökçen)と共同で設立しており、外交関係樹立の直後に投資が行われていたのです。このような貴重な歴史のある日本からの投資進出ですが、現在は250件を超えるまでに増加しましたが、欧米からの投資と比べると一桁少ない水準で、まだまだ私共の努力不足を痛感しています。

イメージ

日常の活動は、トルコのビジネス、投資環境について日本の企業の皆様にお伝えするための様々なセミナーを開催するとともに、企業の皆様の個別案件の実現のための支援を幅広く行っています。外資の積極誘致の為の投資優遇制度も拡充され、広く利用されています。

日本企業のトルコへの進出は、トルコの経済の発展に伴って内容も変化しています。2010頃までの主流はやはり自動車産業などの製造業で、トルコで製品を作り国内販売・欧州などへの輸出、というビジネスモデルでした。経済の発展に伴うGDPの増加×人口の増加で国内市場が急激に拡大したここ10年ほどは、この国内の市場拡大をターゲットとして、食品、医療、ツーリズムなど様々な分野に日本企業も進出するようになりました。最近も企業の方々から頂くお問合せもその分野がさらに広がってきています。扱う案件が投資関連ばかりなので、情報管理には気を使います。投資案件は各国株式市場の要適時開示の対象となることも多く、私共トルコの本部側もしっかり守秘義務を履行しております。これからも日本企業の進出を支援することで更にトルコと日本の関係が深くなっていくことを期待し、微力ながら日々努力しております。

私自身も個人会員として日本・トルコ協会に入会、様々な記念会合やセミナーなどを通して多くの方々との知遇を得ました。遡れば20年前に総合商社の駐在員としてイスタンブールに赴任、その後米国、日本での勤務の後、2度目のトルコ駐在を経て、2016年より現職でトルコ政府の側から日本企業の皆様への支援を続けております。仕事ばかりでなく、トルコの友人とヨットをチャーターして休暇を楽しむのが2度目の駐在以降、ほぼ毎年の恒例となりました。昨年10月は日本の友人を引き連れてマルマリスの南オルハニエを起点にトルコの大自然の中一週間を過ごしました。日本とはまた趣のちがうトルコの自然の豊かさは何度訪れても飽きることのない魅力ですね。知れば知るほど面白いトルコ、これからも公私ともに勉強を積み重ねてトルコと日本の有効にいささかでも貢献出来たら幸せです。

イメージ

▲ TOP